「家族、親族との不和」が離婚理由としてあがるように、義両親との同居が離婚を決める一つの要因となる可能性があることは確かです。ただ、同居をすることのメリットを活かして、夫婦生活がうまくいっている夫婦も存在しますし、一概に同居が離婚率をあげているとは言い切れないでしょう。
住宅費など経済的な支援や子育てを手伝ってもらうなど、さまざまな理由で親と同居する夫婦は珍しくありません。ただ、義親との人間関係は、一度こじれると、修復がたいへんで、離婚へとエスカレートしてしまうリスクを抱えています。
嫁姑問題。夫の両親との同居ストレス
息子を取られた嫉妬心でライバル視がひどい
ずっと一緒に暮らしてきた息子が結婚すると、母親はなんとも言えない寂しさを抱いてしまう気持ちは理解できます。ですがその寂しさが嫉妬心へと変わり、文句を日常的に言われたり、暴言を浴びせられたりしたら、同居のストレスは溜まっていくでしょう。
姑は上司、嫁は部下?家庭内パワハラ
これまでの日本の家庭は、主従関係ができている家が多くありました。夫の両親の家に妻が嫁ぐという古い考え方を基本に、同居するパターンはいまだに多いかもしれません。このケースでは、夫の実家が農業や自営業など家族経営をベースにしていることがよくあります。つまり、「嫁入り」した妻は、貴重な労働力として、役割を与えられることが少なくありません。
ただ、家族経営の中で「新入社員」のような扱いになるため、仕事を覚えたり、慣れない家族の暗黙の了解のようなルールを守ったりで、ストレスはより一層大きくなります。子どもが生まれると、さらに子育てという仕事が増えることになります。
家事にも流派がある?価値観や習慣の違い
洗濯物の干し方、畳み方。食器の洗い方、掃除の手順、頻度など、それぞれの家庭で考え方や方法が違うのはよくあることです。例えば掃除機は毎日かけないと気がすまない人と、1週間に1回くらいでいいと考える人が同じ家に住んだらどうなるでしょう?
お互いが妥協するところはして、相手に合わせる気持ちを持つことができればいいのですが、どちらかの我が強い場合、一方的に我慢しなければいけないことになります。これは玄関が二つある完全2世帯にしたり、食卓を別にするなどの方法を取ることにより、緩和できるかもしれません。
辛いマスオさん状態。妻の両親との同居ストレス
反対に、妻の親と一緒に住むパターンの家族形態も増えています。これは、妻が外で仕事を持っていて、家事や育児を妻の母親が担うケースが多いかもしれません。この場合、夫も妻も子育ての負担を軽くしてもらえるメリットがあります。
嫁と義理母との喧嘩に巻き込まれるストレス
ただ、あまり義親に負担を押し付けてしまうと、義親のストレスが高まり、そこが家族紛争の火種になりがちです。例えば、義母と娘が家事・育児負担で激突したり、夫がその争いに巻き込まれたりすることも珍しくないでしょう。
ある時は、妻と義母の間に立たされて右往左往して困ってしまうこともあるかもしれません。こうした時は、どちらの側に立っても角が立ちそうです。また、ある時は、妻と義母の「同盟軍」に責め立てられて、孤立無援の闘いを強いられることもありそうです。
義理の両親に責められたり否定されたりのストレス
こうした家庭では、夫は妻の扱いや子育ても含めて、神経を使わなければなりません。妻や子に対する接し方が、「厳しすぎる」「甘すぎる」と言われたり、あまり言わないようにすると「無関心過ぎる」と思われたりすることも気にしなければなりません。
義親が嫌いな理由を考える
それぞれ違った環境で育った夫婦でさえ、一緒に生活すると、もめごとが起こるのはよくあることです。ましてや、配偶者の親といっても、生きてきた時代も、考え方も違う人たちと同じ屋根の下で暮らすのが難しいのは当たり前と考えたほうがいいかもしれません。
義親との生活に行き詰ったとき、どこに問題があるのかを突き止めることが大事になります。その原因が分かれば、義親との同居に伴うストレスを解消できるヒントが得られるかもしれません。ストレスの原因を突き止めるのは、意外と簡単です。
顔を見るのも嫌・・になる前に
その答えは、自分の心の中にあるからです。義親との同居生活で、ストレスがたまるのは、なぜかを考えればいいのです。ただ、昔から、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という言葉があるように、人は一度嫌いになってしまうと、その対象の人のすべてを否定してしまいます。
こうした状態になる前に、ストレス度合いが軽いうちに、自分の心の中に聞いてみると、相手のどこが嫌なのかがわかるかもしれません。
辛い同居ストレス・・原因は何?
義親のどこが嫌なのか、どんな時にストレスを感じるのか、を考えることで、同居生活のストレスの源が分かります。例えば「子育てに口を出すから」「家事を押し付けられている」「家事のやり方に対し、いちいちダメ出しされる」「朝起きるのが遅いと、嫌味を言われる」など具体的な原因が分かってきます。
夫婦で話し合った解決策を義両親に伝えること
具体的な原因が分かれば、それに対する解決策があるのかを考えるといいかもしれません。例えば「子育てに口を出す」のが嫌な場合、「子育ては夫婦で考えて、子どものためにやっている」という夫婦の考えを義親に伝えることで、義親の理解を得られるかもしれません。
義親と子育てに関する考え方が違っている場合は、夫婦で話し合い、考えを伝えることも効果的です。また、「家事を押し付けられている」場合はどうでしょうか。この場合は、自分が家事以外に何かしたいことがあるのか(外に出て働きたいなど)、仕事を持っていたり、子育てなどやることが多すぎて手が回らないのか、具体的な背景によって違ってきます。
義両親よりも夫や妻との話し合いが必要なケース
農家などの家族経営で、自分だけが負担が重い場合は別ですが、家族家事や育児を押し付けられて、家に縛り付けられているのが嫌だった場合、または、夫が仕事だけに集中できる環境で、自分は家事、育児、仕事と重荷を背負っているような場合は、義親との関係と言うより、夫と話し合ったほうがいいでしょう。家事や育児を夫にも、もう少し負担してもらう方向で考えることで、問題が解決に向かうこともあります。
また、妻の両親と同居をしていて、妻が夫への不満や悪口を両親に言っている場合、両親から注意をされたり、叱られたりすることもあるかもしれません。娘から愚痴を聞いてもグッとこらえて見守ることのできる両親ならいいのですが、なかなかそうもいかないでしょう。
その場合、夫婦での話し合いの時間を持つことが必要です。たとえ両親であっても、夫婦のことにいちいち口を出されてはストレスがたまってしまいます。その気持ちを冷静に妻に伝え、うまくやっていく方法を探るのが良いでしょう。
義両親との同居ストレスの具体的な解決策は?
生活スタイルを変える
金銭的余裕があるのなら、玄関が二つの完全分離型の2世帯住宅にすることにより、多くのストレスが解消されるでしょう。それは無理でも、食卓を別にしたり、子世帯のエリア、親世帯のエリアをざっくりと分けて、お互いのプライバシーを作れるような工夫をすると良いかもしれません。
一時的に同居を解消してみる
どちらかが一線を超えてしまった場合は、一時的な同居解消も必要です。たとえば、思わず手をあげてしまった、相手をひどく傷つけるような暴言をあびせたなど。そこまでくると、話し合ってその場はうまくまとまったとしても、また同じことが繰り返されることが想像できます。
夫婦が家を出るか・親が家を出るかは、家族構成や親の年齢、世帯主が誰かにもよリます。つまりケースバイケースです。ただし、暴力や暴言を与えた方が反省をすることが目的です。非がある方に制裁を与える形にすることが望ましいでしょう。
介護は人にも頼る
親の年齢が高かったり、体の具合が悪い場合は、容易に同居を解消するのは難しいかもしれません。その場合は、親の世話をする人数を増やすことも考えましょう。デイサービスやヘルパーさんにお願いするなど、1人で頑張りすぎないようにすることも必要です。
義親との同居はメリットを再考する
経済的なメリットがある同居でもストレスがあったら・・
夫婦がマイホームを持つことができないために一時避難している場合や、何らかの健康的な理由などで、夫が親を放っておけないような場合もあるでしょう。いずれにしても、こうしたケースでは、「嫁入り」した妻に、家事、育児負担のしわ寄せがくるケースが少なくありません。
そうした生活にやりがいを感じられればいいのですが、そうでなければ、ストレスをためる結果になってしまいます。ストレスが限界に達すると、「離婚」という選択肢が視野に入ってきます。
最初に、義親との同居を提案されたとき、そのメリットとデメリットをしっかりと把握しておくことが大切です。同居することによって、何が得られるのかというメリットについてはどうでしょうか。例えば、経済的な支援であったり、子育ての協力であったり、そういった自分の負担が軽くなる何かがあるはずです。
同居のデメリットは暮らしてみないとわからない
一方、デメリットについては、初めから全体像が見えにくいものです。義親の人柄や自分に対する接し方は、生活を重ねるごとに変わってくるのが一般的です。最初はお客様扱いをしてもらっていても、いつしか、家政婦のように扱われていたということも珍しくはありません。
最初に描いていたメリットが、期待したほどでもない場合、同居する意味が薄らいできます。また、最初に描いていたデメリットが、想像以上にひどい場合も、同居する意味は薄まってくるでしょう。
義親との同居のコストパフォーマンス(コスパ)をしっかりと見極め、コスパが悪いようだったら、同居の解消へと動き出すのも手です。ただ、それでも、夫のことを愛している、というコスパを超えた愛の力が働く場合もあるでしょう。
同居を通じ、夫や妻が嫌いになってしまう場合も
妻が意地悪をされているのを知りながら、解決する能力がなかったり、ましてや見て見ぬフリをしていたら最悪です。同居を通して夫や妻の本当の姿が見えてしまうというケースもあるでしょう。
たとえ義両親と相性が悪かったとしても、「いざという時には守ってくれる人がいる」「自分の気持ちを理解してくれている人、味方がいる」という確信があれば頑張れるものです。そうでなければ同居を解消できたとしても、また違う局面でがっかりする出来事が起きることは容易に想像できるでしょう。
その場合は夫婦の問題を解決することが、根本にあるのかもしれません。
まとめ
義両親との同居ストレスが辛い時の解決策
- 義両親の嫌なところは何かを考える
- 具体的な解決策がないかを夫婦で話し合う
- 義理両親へ提案することで理解が得られるかも
- 2世帯住宅にする、食卓を別にする、一時的に同居を解消するなどの対策
- そもそも夫婦間の問題である場合も
- 同居のメリットデメリットを比較し、メリットがなければ同居解消も視野に
- 夫婦間での話し合いに溝があれば離婚も考える
義親との同居生活が続けられるかどうかの見極めは、夫や妻が自分の見方になってくれるかどうかにあります。義親との同居生活がストレスになっている具体的な原因について自問自答し、それが見つかったら、解決方法を夫や妻と一緒になって考えられることができれば、ストレス地獄からの出口は見つかるはずです。
もし、配偶者に自分の思いが上手く伝わらなかったり、配偶者の考え方が理解できなかった場合は、義親との同居に伴うストレスの解消の答えを見つけることは、難しいかもしれません。そもそも、夫婦が互いに理解できない状況であるならば、そのストレスの原因は、義親というよりも、配偶者にある可能性があります。結婚生活そのものを見直す必要があるかもしれません。
