不利を覆せるか。男の離婚に強い弁護士とは

離婚は男にとって、女性よりも圧倒的に不利というのが一般的な見方です。慰謝料や婚姻費用などお金の問題や子どもの親権に関する問題は、女性である妻側が主導権を握る傾向が強いようです。男性が、不利を承知で離婚を決意したり、妻から突然、離婚を突き付けられたとき、頼りになる弁護士とはどういう人なのでしょうか。

男の離婚が、お金の面で圧倒的に不利

基本的な考え方として、結婚後に築いた資産は、夫婦の共有財産です。どんなに、男性が仕事に人生をささげていたとしても、結婚前に築いた財産を除き、離婚した場合は半分ずつに分けるのがオーソドックスなやり方です。

結婚生活への貢献度が低い妻だとしても・・。

妻が良妻でなく、夫にとってひどい人であったとしても、基本原則は簡単には曲げられません。例えば、妻が朝起きずに昼まで寝ているとか、家事をしないとか、子育てを手抜きしていたとしても、財産の半分は原則、妻に渡ってしまうと考えたほうがよさそうです。

持ち家の場合、事前リサーチが大切

いろいろある財産の中でも、最も価値が高いと考えられる自宅などの不動産が、最も分けにくい資産であることが多いと考えられます。離婚の可能性が高まった時点で、不動産の価格を調べておくと、その後の準備が進めやすいと言えます。

妻が家の引き渡しを要求した場合、所有している不動産の正しい価格を把握しておかないと、売却したほうがいいのか、妻に物件を引き渡す代わりに、慰謝料や養育費を減額してもらうほうが得なのかなど、判断することができないからです。

子どもの親権も不利。こだわるなら仕事を変える覚悟も

イクメン

子どもの親権が女性に有利な理由は、男性は平日夜遅くまで働いていることが多く、子どもの面倒を見るのが難しいことがあげられます。ひと昔前まではそうであったかもしれませんが、最近は女性も働きに出ているケースも増えています。

そういう意味では、男性が親権を取るチャンスは高まっていると考えたほうがいいかもしれません。

裁判所や調停員に子育ての環境をアピール

どうしても、子どもの親権の取得にこだわる場合は、父親に親権を与えても、子どもが十分に立派に育つ環境であるということを家庭裁判所に示すことが重要になります。具体的には、自分の両親と同居して、日々の子どもの面倒を見れる体制を整えることです。さらに、父親自信も仕事を定時に帰ることができる部署に異動を願い出ているとか、夕方には帰宅できる仕事に転職しているなども効果的と考えられます。

しかし、小さい子どもを父親が育てるということは、相当の覚悟が必要です。特に、家事や育児の経験が全くないままに、30歳、40歳になった男性であれば、家事仕事を毎日こなすのは相当な頑張りが必要とされます。

親権を諦め、面会交流を確保する選択も

そうした覚悟が持てない場合は、親権にはこだわらず、面会交流の機会をしっかり確保し、子どもとのコミュニケーションを維持しながら、精神的、経済的なバックアップをするということも重要です。

この場合、男性側が養育費を支払う義務が生じます。しかも、養育費の使途を女性側に報告させることも難しく、男性側にとっては納得のいかないことも多いでしょう。しかし、養育費に関しては、子どものために支払っているという考えを持つことが大事です。

婚姻費用の支払い義務があるかを認識する

妻から離婚を切り出されたときに気をつけなければならないのが、婚姻費用の問題です。妻が専業主婦であったり、妻が仕事を持っていても夫のほうが収入が高い場合、夫は妻に対して婚姻費用を名目に生活費を負担する義務があります。

婚姻費用の支払い義務が認定されれば、離婚することを前提に協議を続けている間も、婚姻費用の負担は正式に離婚が成立するまでは続きます。同居している場合は、これまでも生活費を負担しているので、さほど負担感はありませんが、別居した場合は、自分の生活費とは別に、妻側に婚姻費用を払う必要があり、二重の生活費を背負います。

つまり、離婚の方向に向けて動き出した場合、長引かせれば長引かせるほど、婚姻費用を支払っている側に重い負担がのしかかります。このため、離婚の条件が折り合わなくても、まず離婚を成立させ、婚姻費用の問題を解消してから、じっくりと条件面の交渉を続ける選択肢もあります。

男が有利に離婚するために、選ぶべき弁護士とは

弁護士選び

このように、まだ、離婚をめぐっては、男性よりも女性にとって有利な条件になる傾向にあることは否定できない事実です。そうならば、男性が離婚するときは、あきらめてしまうしかないのでしょうか。

妻側が弁護士に依頼した場合はもちろんのこと、夫側も弁護士に依頼することを検討する必要があります。弁護士なしで対応した場合、法律を盾にして、妻側に攻め込まれる可能性は高く、自分が失うものを最小限にとどめることが難しくなってしまいます。

弁護士を選ぶコツ

では、どんな弁護士を選べばよいのでしょうか。弁護士も、もちろん離婚をめぐっては女性側につくほうが、勝つ可能性が高いことを知っています。男性側についても、成功報酬を多くとれないと考えれば、男性側に付きたがらない弁護士もいるはずです。

また、仮に弁護士が付いてくれたとしても、女性側に有利な点を説明し、男性側には、初めからあまり勝ち目がないとあきらめてしまう弁護士もいるようです。

複数の弁護士と会って、どの弁護士が自分に合っているかを比較検討することが大事ですが、その際、離婚が成立まで婚姻費用を支払う可能性や、子どもの親権を取るのが難しい点などを隠さずに説明しながら、それでも、有利な解決にもっていく戦略を一緒に考えてくれる弁護士が理想だと言えます。

それでも男が有利になる離婚戦略とは

男性側が離婚の決断に迫られたとき、まずはここで述べた「離婚は女性に有利な条件になりやすい」という過去の判例をしっかり理解することが前提になります。そのうえで、自分の離婚後の生活設計や仕事との向き合い方を再確認し、この離婚で自分が失ってもやむを得ないものと、失いたくないものを決めます。つまり、勝利と言える条件の基準を決めるわけです。

失いたくないものは何か。譲れないものは何か。

例えば、今の仕事をこの先も続けていくことが大事なのか、子どもの親権を取り、子育てや子どもとの生活の中で人生の価値を見い出したいのか、財産を少しでも失いたくないのか、早く離婚して、良い伴侶を見つけて、人生をやり直したいのか、などなどです。

理想のゴールに少しでも近づけるように

もちろん、上記の全部である、というのが多くの男性の本音であることは間違いありません。しかし、「離婚は女性に有利な条件になりやすいもの」という前提を忘れ、やみくもにすべてを手に入れようとしてしまっては、勝利をつかむ可能性はかえって減ってしまいます。

さらに、上記の全部を得ることが前提であると考えてしまうと、モチベーションが高く、交渉に優れた弁護士と巡り合う可能性も低くなってしまいます。この勝利の基準を合理的に導き出すことができたなら、男性でも有利な離婚へ向けて歩みだすことができるかもしれません。

相手の出方を予想し、戦略を練る

男に有利な離婚弁護士

男が有利に離婚を成立させるには、妻側がどのような請求をしてくるのか、妻側の勝利のポイントは何かを想定することも重要になります。また、裁判になるまで要求を貫き通すのか、その場合、どのような審判の結果が想定されるのかといった「読み」も大事です。

弁護士を選ぶときは、こうした先の見立てがしっかりできる人が理想です。相手の出方を「読む」さいは、自分が話し合いの場を設けるようにするのも手であるし、弁護士どうしの話し合いで探り合ってもらう方法もあるでしょう。

相手の出方や相手のこだわるポイントが分かれば、弁護士と一緒に落としどころを探っていきます。おそらく、どうしても譲れない部分で、互いの主張がぶつかり合う面もあるでしょう。その時は、妥協のポイント、譲る代わりに何を得るのか、など交渉の道筋を語ってくれる弁護士なら、信頼しやすいです。

まとめ

心構えができない段階で、離婚をする決断に迫られた場合、心の動揺で仕事もうまくいかず、生活がガタガタになってしまいがちです。早く、離婚を済ませたい一心で、不利な条件を丸呑みしたり、決断ができずに離婚協議を長引かせて、精神的にも体力的にもへとへとになってしまうケースもあり得ます。

そうした時に、頼れる弁護士がいると、本当にありがたいはずです。依頼人の味方になってくれ、依頼人が少しでも有利になるように、高いモチベーションで一生懸命やってくれる弁護士を見つけることが大事です。

そのためには、まず無料相談などに積極的に出かけ、複数の弁護士と会って話を聞き、その能力と熱意を見極めることが大事です。