子供を虐待する夫(妻)と離婚するには

子供に対する虐待が大きな社会問題になっています。配偶者が、子どもに対して、身体的、精神的に虐待し、家庭内でそれを止めることができないのなら、一刻も早くさまざまな手立てを講じなければなりません。

子供の安全が何よりも大切です。配偶者と離婚するしか方法がないと考えるなら、弁護士に相談するなど、離婚に向けて、着実に準備を進めます。暴力を持って家族を支配する配偶者とは決別し、平和な生活を取り戻さなければなりません。

子供に対する虐待の定義

  1. 身体的虐待
    殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束するなど
  2. 性的虐待
    子供への性的行為、性的行為を見せる、性器を触るまたは触らせる、ポルノグラフィの被写体にするなど
  3. ネグレクト
    家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなど
  4. 心理的虐待
    言葉による脅し、無視、兄弟(姉妹)間での差別的な扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス、DV)など

増加する子供に対する虐待

子供に対する虐待は増加傾向にあります。平成24年度、児童相談所が対応した児童虐待の相談件数によると、身体的虐待が35.3%で最も多く、次いで心理的虐待(33.6%)、ネグレクト(28.9%)、性的虐待(2.2%)となっています。

虐待者別でいうと、実母が57.3%と最も多く、次いで実父が29.0%となっています。虐待を受けた子どもの年齢構成は、小学生が35.2%で最も多く、3歳から学齢前児童が24.7%、0~3歳未満が18.8%と小学生以下でほとんどを占めています。

幼稚園や保育園、小学校などに通っていれば、第三者が発見する可能性も高くなりますが、家庭という狭い世界の中で起こっている出来事から子供を救えるのは、自分しかいない。そういう強い気持ちを持って欲しいと思います。

児童相談所などに早めの相談を

児童相談所に相談

自分の子供が虐待を受けているとき、配偶者のその行為を止めようと努力しても、難しい場合が少なくありません。そうしたときは、一人で抱え込むのではなく、さまざまな機関の窓口に相談することが大切です。

自分の家族以外でも、周りに虐待を受けたと思われる子どもがいた場合も、相談することが大切です。たとえ、その家での行為が虐待ではなかったとしても、相談した人が責任を問われることはありません。

相談機関は以下の通りです。

  • 児童相談所
    各市町村に設けられた児童福祉の専門機関です。児童相談所の全国共通ダイヤル189(いちはやく)で、相談を受け付けています。
  • 子供家庭支援センター
    市区町村が設置している相談窓口です。18歳未満の子どもや子育て家庭のあらゆる相談に応じるほか、ショートステイや一時預かりなどのサービスのも行っています。

虐待する配偶者との離婚を決意

子供の虐待を理由に離婚するには、虐待をしている側の親に虐待の事実を認めさせた上で手続きを進めていきます。

配偶者が離婚に同意しない場合に備えて、子どもへの虐待についての証拠を集めておくと手続きがスムーズです。虐待を証明する証拠は、医療機関の診断書やケガをした場合のアザや傷などの証拠、虐待行為を録音・録画したデータなどが有効です。

離婚を切り出す時は安全の確保をしてから

子供を虐待する配偶者と離婚する場合、離婚を切り出した途端に、暴力をしていた配偶者が腹を立て、子どもへの虐待がエスカレートするおそれがあります。また、こうした暴力をふるう人の性質として、子どもだけでなく、配偶者にも暴力をもって支配する傾向があります。

離婚を切り出すときは、子供と一緒に別居するなど、安全を確保できる環境を整えることが重要です。まずは、弁護士などの専門家に相談したり、上記の児童福祉の相談機関こうした安全確保の方法も含めて、アドバイスを受けるとこが大事です。

協議離婚をスキップする方法も

離婚の方法

離婚の手続きとしては、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があり、協議離婚から始めるケースが一般的です。協議離婚は、夫婦間で話し合って離婚を決めるため、費用や面倒な手続きを省略できるからです。

しかし、ドメスティック・バイオレンスや子どもを虐待する配偶者との離婚手続きでは、協議離婚がうまくいく可能性は少ないと考えられます。話し合いで素直に虐待を認め、離婚に同意してくれるとは考えにくく、逆ギレされてしまい、暴力を受けてしまう危険性もあります。

ひとりだけで対処せず、第三者の仲介を

協議離婚の中で、子供の親権や養育費の支払いなどについても話し合う必要があり、暴力的、支配的な態度で交渉を進められると、適切な判断をするのが大変です。早く恐怖から逃れたい一心で、不利な条件に妥協してしまうリスクもあります。

協議離婚をするにしても、まずは、弁護士などの代理人を立て、自分だけで交渉することは避けたほうが無難です。裁判所の調停委員に間に入ってもらい、離婚やその条件について話し合うことができる「調停離婚」から始める方法も有効と言えます。

虐待に対する慰謝料も請求できる

調停や裁判などで虐待を立証することができれば、慰謝料を請求できる可能性もあります。つまり、配偶者による虐待が行われていたことで婚姻関係が破綻し離婚にいたった場合には、有責配偶者として、慰謝料を請求します。さらに、子供の虐待に対しても、慰謝料を請求することができるわけです。

調停や裁判で決まったことであれば、元配偶者が慰謝料の支払いをしない場合に強制執行をかけることもできます。早めに弁護士に相談し、離婚をスムーズに進め、親権、養育費、慰謝料の請求を準備し、子供が安全に暮らせる新しい生活環境を確保することが大事です。

まとめ

  • 1人で悩まず、児童相談所などに相談を
  • 離婚を決意したら、証拠の保持などの準備を進める
  • 離婚を切り出すのは、子供の安全確保をしてから
  • 離婚交渉も、できるだけ第三者の仲介を

子どもに対する虐待が社会問題化しています。家庭内に第三者が介在することが難しく、暴力的な親が家族を支配してしまい、問題が発覚することが難しいからです。

虐待する親は、たいてい、子どもに対する「しつけ」を主張し、「虐待」を覆い隠そうとします。子どもや配偶者に対する暴力による支配を解決するには、家庭の中だけで問題を解決しようとするのではなく、早めに外部に相談することが大事です。