離婚の相談は誰に?弁護士と行政書士の違いは?

離婚をしたいと思った時、誰に相談すべきか迷ってしまいます。相談の内容によって、相談の相手も変わってきます。弁護士、行政書士、司法書士など、それぞれの特徴を知っておくと、相談相手も見つかるはずです。

離婚を弁護士に相談するメリットは

日本では、裁判官、検察官、弁護士の3種類の職業が、法律の専門家として認められています。これらの3種類の職業は最も難しい国家試験のひとつといわれる司法試験に合格し、長期間の研修を経たプロフェッショナルです。

裁判官や検察官はそれぞれ、裁判所や検察庁に勤務する国家公務員ですので、離婚問題などで市民が相談に行く相手としては、弁護士ということになります。

弁護士と他の士業(司法書士や行政書士など)との違いは、弁護しか取り扱えない業務があることです。大まかにまとめると、以下の3点です。

  1. 相手側と交渉すること
  2. 家庭裁判所などの裁判所に出廷すること
    (簡易裁判所は司法書士の代理人出廷も可能)
  3. 刑事事件の代理人になること
つまり、離婚問題の場合は、相手側との交渉が必要となるケースでは、弁護士でないと取り扱いが難しいということです。相手側が離婚自体について同意していないケースや、親権について争いが生じるケース、慰謝料や養育費、財産分与、子供との面会交流権などで揉めているケースなどは、弁護士に相談することが最適であると言えます。

離婚問題を行政書士に依頼すべきケースとは

弁護士
行政書士は、権利義務に関して書面を作成する専門職として法律で定められています。司法書士は、主に不動産の登記に関する業務に特化しています。行政書士や司法書士に任せられる離婚問題に関する業務は、以下の通りです。

  • 司法書士
    離婚調停申立書の作成代行、不動産の名義変更手続きなど
  • 行政書士
    離婚協議書の作成、内容証明の作成

これに対して、弁護士は上記を含むすべての業務に対応可能です。不倫などの不貞行為に関連する慰謝料の請求訴訟や、離婚における調停、審判、裁判などについて、裁判所における事務作業、法律事件に関する示談交渉は、弁護士だけに認められている業務になります。

書面の作成は自分でもできますが、専門家にやってもらうことで、相手側へのプレッシャーを与える効果が期待できます。離婚調停申立書は相手方に送付されるので、「秘密にしている現住所など相手側に知られたくない事実を書かない」「離婚調停申立書に書いたことなどが証拠として残る」ことなど、自分で書く際にはいくつか注意点があります。

弁護士、行政書士が離婚の専門家かどうかを調べる

弁護士や行政書士の仕事は広範囲であり、離婚問題を専門に扱っていたり、離婚問題の経験が豊富であるかどうかはなかなかわかりません。友人・知人など知り合いを通して紹介してもらう方法が手堅いですが、適当な知り合いがいない場合は、インターネットで調べることになります。

インターネットで弁護士や行政書士を探すのであれば、事務所のホームページが参考になります。ホームページをよく見ると、その弁護士や行政書士の得意分野が掲載されているはずです。弁護士や行政書士は、自分の得意分野の仕事を増やすほうが、効率よく稼げるし、さまざまな経験を次に生かすことができます。

そして、最適な事務所のサイトを見つけることができれば、実際にメールをしたり、電話で確認したり、無料相談があれば受けてみて、自分のケースに合っているかどうかを確認してみることもできます。

弁護士費用はどのくらい?

弁護士費用

離婚問題で相談する相手として、弁護士を選んだ場合、その弁護士費用としていくら準備すればいいのでしょうか。弁護士費用は2004年3月31日まで、弁護士会の報酬規程で基準が決まっていましたが、同年4月1日に弁護士会報酬規程が廃止され、弁護士が自由に価格を決めるようになりました。

ただ、これまでの弁護士会報酬規程を基準に弁護士費用を計算している弁護士が多いようです。

下記は弁護士費用の内訳(料金は参考価格)です。

  • 相談料
    法律相談弁護士事務所を訪問し、法律相談をします。離婚のケースでは、30分では事情をすべて説明するには時間が足りません。要点を紙に書いて、まとめていくと良いでしょう。相談料は初回を無料にしているケースや、30分5000円など。
  • 着手金
    着手金とは、弁護士に依頼した案件が成功するか、うまくいかないかにかかわらず、その案件を依頼した際に支払うお金です。検討した結果、他の弁護士に頼むことになっても、着手金は返金されません。着手金の相場は20万円からなど。
  • 報酬金
    依頼した案件の成功の程度によって支払うお金です。依頼者が得た経済的利益の何パーセントという形で取り決めします。着手金を無料にして、報酬金を高く設定する弁護士事務所もあるようです。
  • 実費
    実費とは、弁護活動に実際にかかった費用のことです。弁護士によっては、実費についての詳しい説明を省く場合があり、請求の段階で揉めるケースもあるようです。着手金や報酬金と同じように、実費についても事前に質問することが必要です。主な実費は、旅費交通費(依頼した弁護士が移動のために使った交通費や宿泊費)、日当(裁判、調停、出張など弁護士事務所から離れる場合に請求されるお金)、切手・印紙代(交渉相手に書類を送付する際や裁判所に訴状を提出する際にかかる費用)です。

行政書士に依頼する際の費用とは

行政書士や司法書士に書類の作成を依頼する際、費用の相場は以下の通りです。弁護士のように、相手側との交渉や裁判所への出廷などはできないので、相手側との合意が容易で、スムーズに協議離婚がまとまる場合、書類の作成だけを依頼するイメージになります。

例えば、行政書士に離婚協議書の作成を依頼した場合には、報酬が発生します。離婚協議書作成の報酬額には基準があるわけではないので、事務所によって様々です。だいたいの相場は5万~10万程度とされています。また、公証役場への付き添いなどを依頼すると、別途日当が発生します。

証拠集めに探偵事務所などに頼んだ場合の費用は?

証拠集めの探偵

相手側に不貞行為などの責任があると思われる場合、有利な条件で離婚するためには、証拠が必要になってきます。証拠が簡単に手に入ればいいのですが、不倫現場の撮影や不倫相手の特定など、調査しなければならない場合は費用が別途かかる可能性があります。

不貞行為の証拠集めを外部に依頼すると、かなり高額になってしまいます。探偵事務所などの調査費用は、千差万別ですが、依頼内容によっては数十万円から100万円程度かかるケースもあるようです。

探偵に依頼する時は費用に注意

相手方や不倫相手の行動の調査を行うのは大変です。例えば、配偶者が不倫相手と会うのが月一回だとして、その日付が分からない場合は、日々行動調査をしなければならず、探偵事務所へ支払う日当や交通費が膨大になってしまいます。

配偶者と同居しているのなら、行動パターンを観察し、不倫相手と会うのは何曜日なのか、夜なのか昼間なのかなどの角度の高い情報を把握し、探偵事務所に知らせると、費用を抑えられる可能性があります。

探偵事務所に相談するときは、どのような証拠を集めたいかを明確にし、調査対象者の行動パターンがわかる有益な情報を提供すると効果的です。

まとめ

離婚に向けて、相談相手の決め方は?

  • 揉めることが予想される場合は、弁護士に依頼するのが最適
  • 行政書士は離婚協議書の作成、内容証明の作成はできるが示談交渉等はできない
  • 弁護士や行政書士を探す時は、離婚問題の経験が豊富かどうかを見極める
  • 弁護士、行政書士、探偵などは、依頼する前に費用の確認を
離婚をすると決めた後、どの専門家に相談するかは重要です。まずは、専門家のそれぞれの役割を知ったうえで専門家を使うと、効果的な結果が期待できます。入り口として、法務省所管の公的な法人である「日本司法支援センター」(法テラス)の無料相談を活用することも可能です。