結婚した夫婦が、義両親と同居している家庭では、些細なことでストレスをため込みがちです。昔は「嫁入り」という考え方が支配的で、夫の親と同居する家庭は珍しくありませんでしたが、今は経済的に節約するためや、女性が出産後も仕事を続けるために、義親に子育てを手伝ってもらうなどの理由から、同居を選ぶケースが目立ちます。
義親との同居に伴うストレスを少しでも軽減するために、さまざまな取り組みをしている家庭があるようですが、そう簡単にはうまくいきません。
「二世帯住宅」「キッチンを別に」
「スープの冷めない距離」を保つことが、義親との良好な関係を築くコツであると昔から言われています。経済合理性を考えて、同居を決断した場合にも、距離を保つことの大切さは変わりません。
長男の嫁Aさん
義母が長男である夫に執着
夫は長男です。40歳を過ぎるまで独身でいたのは、義理の母親の存在があったからではないかと疑ってしまいます。夫はマザコンではないのですが、義母のほうが、義父に先立たれてから、息子に執着しているように感じます。
夫と2人でのんびり暮らしたいと思ったのですが、義母は「先祖代々の土地を使って家を新築するので一緒に住まないか」と夫に勧めました。
夫も、いずれかは義母の面倒を見るつもりだったらしく、二世帯住宅の案に賛成しました。義母の土地の上に、自己資金で建物を建てたのです。
キッチンは別、食卓も別
新しい家は、二階建てで、一階が新婚夫婦、二階は義母が暮らすようになりました。キッチンは一階にも二階にもあり、風呂やトイレも別です。同じ建物に住んでいても、顔を合わすことがない日も珍しくありません。
義母は、私たち夫婦のことに口出しすることもほとんどありませんでした。私が望んでいた夫婦2人の時間が、これからも続くと期待しました。
しかし、1年も経たないうちに、義母は我慢しきれなくなったようです。それは、孫のことです。
孫はまだかと言われるのがきつい
そもそも、義母が二世帯住宅を勧めた理由は、孫が生まれることを前提にしていたようでした。しかし、私に妊娠の兆候が全く表れないことに、いら立ってきたようです。
顔を合わすたびに「孫はまだか」と言われるし、自分の友人や知人にも、グチを言っているようでした。
驚いたことに、夫には最初から孫の誕生への期待を言っていたようです。夫は、私のことを気遣って、言わなかっただけでした。私自身は「子供が欲しい」という願いはそれほどありません。
だから、子供が授からないことについて、気にかけていなかったのですが、義母の「孫はまだか」攻撃が激しくなるにつれて、そう言われることにいら立ちを感じるようになったのです。
すると、同居生活も一気にストレスが高いものとなりました。このストレスをどう解消しようかと、頭を悩ませています。
一定の距離を保つためにパートを始めた
郊外に戸建てを買い、夫と子供の3人で暮らし始めて1年。夫が母親と同居し、面倒を見たいと言い出しました。子供は家族が多いほうが楽しいと言い、喜んでいますが、私は義母とうまくやれるかどうか不安でした。
家の中で孤立しているBさん
夫婦でもめると、義母は夫の肩を持つ
夫が学生時代に父親が他界し、義母は女手一つで夫と夫の弟を育てたのです。夫が就職し、地方の工場で務めることになったため、東京暮らしの義母は、夫の弟の家で同居していたようです。
しかし、夫の弟の妻と折り合いが悪くなり、義母が夫と住みたいと言い出したようなのです。
義母の部屋はありますが、キッチンや風呂、トイレは一つです。同居すると、何かとストレスが高くなってきました。我慢できなかったのは、夫婦で意見の違いがあると、義母が口を出し、夫の肩を持つことでした。
子供の教育方針に溝
とくに、子供の教育方針では違いが鮮明でした。義母と夫は、私の教育方針が子供に厳しすぎると言います。私は子供のことを考えて、厳しくしているにもかかわらず、義母が夫の肩を持つことで、私が孤立してしまいます。
このままでは、精神状態が持たないと判断し、パートに出ることにしました。仕事はスーパーのレジで、午前9時から午後5時まで。その間は、義母と顔を合わせる必要がなく、自分らしく振舞うことができました。
しかし、家に帰ると、また孤立感が深まる生活です。だんだん、自分の気持ちが荒んでいくような感覚に襲われます。本来の自分の精神状態を取り戻すためには、どうしたらいいのか、迷い始めています。
家の中に味方がいない。辛い同居生活
姑の不機嫌な顔がきついCさん
自分の親の悪口を言われ、絶望的な気持ちに
子供が生まれてから、夫の親と同居するようになりました。私は専業主婦なので、子供を保育園に預けることはできません。義母は、家事を済ませやすいように子供を預かってくれます。
それは助かるのですが、自分が美容院に行くときなどに子供を預けるのは気が引けます。そういう時に、少し離れた自分の実家に帰って、子供を預けます。自分の親の方が、遠慮なく頼めるので、実家に頼むことが多くなってしまいました。
義母も、次第にそのことに気付き始めました。義母に知られてしまうと、余計に意識してしまい、義母に頼みにくくなってくるという悪循環です。最初は「遠慮しなくていいのよ」と言っていた義母も、あからさまに不機嫌な顔をするようになってきました。
夫が、義母との橋渡しをしてくれたらいいのですが、まともに話を聞いてくれません。あまりしつこく言うと、「専業主婦なんだから、自分で何とかしろ」と言われる始末です。
自分の家なのに・・帰りたくないと思う気持ち
正月や連休などに子供を連れて実家に帰ると、家に戻るのが嫌になってきます。連休中は夫も仕事が休みで、私が子供を連れて帰ってしまうことに、イライラし始めます。
イヤイヤ家に戻ったところ、夫と義母が一緒になって、私や私の親のことを悪く言います。自分のことは仕方がないですが、親のことまで悪く言われてしまうと、やるせない気持ちになります。
孤独感が強まって、義母のいる家にいるのが、針のムシロのように感じます。
まとめ
今は、どうしても義両親と同居しなければならないケースは減ってきていますが、経済的な問題や夫婦や義母の健康問題などを理由に同居が余儀なくされる場合はあります。
同居する場合でも、キッチンや食卓など生活の場所を分けることで、ストレスは軽減されるようです。しかし、適度な距離をとっていても、仕事に出ることで顔を合わせる時間を減らしても、同居のストレスが全くなくなるわけではありません。
他人だからこそ、気を配り、うまくやるという気持ちは必要です。どうしてもストレスの重さに耐えられない場合は、経済的な基盤を整え、離婚を考えるのも手でしょう。
自分の時間を持つために、働きに出ることで、義両親と顔を合わせる時間が減るうえ、経済的にも余裕が出るという一石二鳥の効果があります。経済的なフリーハンドを持つことで、心理的にも余裕が出て、冷静な判断を下せる可能性も高まります。