キレるDV妻、夫への暴力がやめられない。離婚回避は可能か

妻から夫へのドメスティック・バイオレンス(DV)に関する相談が増えていると言います。妻の暴力を理由にした離婚も増加傾向にあり、家庭内で荒れるキレやすい妻の実態が浮き彫りになっています。どうすれば、夫に対する暴力をやめて、家族を再生させることができるのでしょうか。

一線を越え、手を挙げると、もうやめられない

『結婚10年目にして、長男が生まれました。しかし、慣れない子育てに疲れている妻は、ちょっとしたことでイライラすることが多くなります。そして、夫のささいな言葉や態度にムカつきます』

ここまではどこの家庭でもあるシーンですが、ある時、妻がストレスに耐えきれず、夫に手を挙げてしまいます。その一線を越えてしまうと、妻の暴力はブレーキを失い、もう止まりません。


夫への暴力が止まらないAさん

暴力をふるった後に自己嫌悪

「わかってるわよ!」正論を言われ激怒

夫は20代のころ、一人暮らしが長く、居酒屋でアルバイトしていたこともあり、身の回りのことは何でもできます。結婚して、2人の時は、掃除や料理をやってくれるのでとても助かりました。

子育てで疲れ、掃除がおろそかに

しかし、子供ができると、私が赤ちゃんの授乳や寝かしつけに手を取られることが多くなり、掃除や料理、洗濯などの家事がおろそかになってしまいます。夫は小さな会社に勤めているので、育休なども取れるはずがなく、仕事で帰りが遅くなることもありました。

しかも、夫は自分が身の回りのことをキチンとできるタイプなので、仕事から帰って、部屋が少しでも散らかっていると、急に不機嫌になったような表情を浮かべます。

自分で掃除を始める夫の頭を…

夫は私に文句を言うわけでもなく、収納からハンディータイプのモップを取り出し、おもむろに家具や家電の上にかぶったホコリを払い始めます。私が「後でやるから、置いといて」というと、「ホコリがたまっていると、子供の環境にもよくない」と言い返し、黙々と掃除を続けます。

その態度に、カチンときました。「わかってるわよ、そんなこと」。そういって、ハンディーモップを夫から取り上げ、「やればいいんでしょ」と言って、私が続きをやろうとしました。

しかし、何も言わず、雑巾をかけ始めた夫を見て、さらに腹が立ちます。「おとなしく座ってろよ」と言って、夫が握りしめていた雑巾も取り上げ、ハンディーモップで夫の頭を払い始めます。

反撃しない夫にマウンティング

「子供が見ているだろ」と言って、反撃をしない夫を見ると、さらにイライラが募ります。普段から子育てで十分に眠れていないことと、あまりの怒りに頭の中が真っ白になり、気付くと夫に馬乗りになり、顔面を平手で殴っていました。

さらに、起き上がってこない夫の腰のあたりに蹴りを加えます。子供の泣き声で我に返るまで、無抵抗の夫に暴力を加え続けました。

何もできない自分自身を責める毎日

冷静になってみると、夫が正しいことは頭では分かっているつもりです。家事を満足にできない自分に対し、すでに自己嫌悪を感じているのです。手負いの状態で、傷口の上に塩を塗るようなことをされると、反撃せずにはいられません。何かしないと、自分が壊れてしまいそうです。

暴力をふるっているときは無我夢中ですが、ストレスは多少発散できているのだと思います。でも、その後で、数倍の自己嫌悪が襲ってきます。傷口は深く、広くなり、夫の言葉や態度に対し、さらに敏感になっていきます。

罪悪感があるなら、まだ修復の可能性も

妻から夫への暴力は、これまで表面化することは少なく、誰かに相談しても、単なる夫婦喧嘩で片づけられてしまうことが大半でした。しかし、日常的に暴力が続くことで、夫の精神的なダメージが深刻化したり、子供への悪影響を考えて、離婚に踏み切るケースは増えているようです。

しかし、冒頭のDV妻のケースでは、暴力をふるっている妻側に罪悪感が残っています。こうした場合は、取り組み方によっては、離婚回避へ向けて、踏み出せる可能性もあります。

夫への「甘え」が暴力を生む

妻が夫に暴力をふるい、夫側が一方的に耐えている状態は、離婚へ向けて危機感が高まっていると言えます。妻のDVを、すでに妻自身では止められない状態になっているとしたら、夫の我慢が限界に達した時点で離婚へと進む可能性が高いと言えます。

そもそも、こうした場合の妻のDVの背景には、夫に対する「甘え」の構造があると言えます。「家族だからわかってくれるはず」「それを理解しないのは、夫のせい」という考え方です。

もちろん、夫側が育児や家事に非協力的だったり、夫婦共働きであるにもかかわらず、妻に家事や育児を押し付ける「ワンオペ」(ワンオペレーションの略。一人で家事や育児をこなす状態のこと)になっていたりする場合は別です。

しかし、そうではなくて、妻自身が思い通りにならない不満がたまり、そのはけ口として、夫への暴力に走っている状態であるならば、離婚は秒読み段階と言えます。もし、夫がそれでも耐え続けているならば、夫の精神状態が危険な状態であると考えられます。

第三者への相談が解決の糸口に

「悪いのは夫のせい」という考え方がどうしても抜けきらず、罪悪感はあるもののどうしようもない場合は、信頼のおける友人や夫婦問題のカウンセラーなど第三者に相談してみることが解決の糸口になります。

「悪いのは夫のせい」「家族なら我慢すべきだ」などと考えるのは、自分のDVを正当化しているのに過ぎません。それは、子供に対して「しつけだから」といって、虐待をしているのと変わらないからです。

自分が置かれている状態がどうなのかを、一度、第三者の目で客観的に評価してもらうことが大切です。そのうえで、二度と夫に対して暴力をふるうことがないように、改善へ向けた努力をすべきでしょう。

もし、家事や育児の負担が大きすぎたり、夫側の言葉がモラルハラスメント(精神的な侮辱や虐待)に近いものである可能性もあると考えられたなら、夫側にもそれを改善する努力が必要になります。

まず、妻側が暴力的な態度を改める姿勢を示したうえで、夫側にその意思を伝え、謝罪すべきでしょう。そのうえで、自分が暴力をふるうに至った経緯を夫側に説明し、互いにやり直す方向にもっていければ、離婚を回避できる可能性が出てきます。

2人で話し合っても、うまく自分の気持ちを伝えられる自信がない場合や、感情的になってしまう恐れがある場合は、カウンセラーなどにコミュニケーションの橋渡し役を頼むのも得策です。

まとめ

妻のDVが起こる引き金は、自分の気持ちが相手に理解されなかったり、自分の思い通りにならないことなどに対する苛立ちや、夫の口から自分の期待とは違った言葉や態度が出てきたときに、怒りのスイッチが入ることが多いようです。

昔は「夫婦喧嘩は犬も食わない」ということわざがある通り、夫婦間のいさかいについては、当事者に任せておけば、時間が立てば解決するだろうというふうに考えられていました。

しかし、価値観が多様化するに従い、仕事や家庭、子育てなど人生に対する考え方が大きく違う夫婦も増えています。相手の考え方を尊重することを忘れ、自分の思い通りにならない場合は暴力に訴えるケースも増えています。

腕力に訴えて物事を解決しようという試みは、いつしか破綻を生みます。自分の価値観の殻にこもるのではなく、他人の意見も聞き、改善するところは改善すると言った謙虚な気持ちを持つ姿勢があれば、夫婦の再生のきっかけにもなるはずです。