養育費を勝手に減額?その時とるべき対応は?

養育費を支払うのは親の義務ですが、離婚して数年たつと支払いを勝手に止め、最後まで支払い続けられなくなる親がいるのも現実です。離婚をする時に決めた通りに払ってもらえなくなった時、子供を養育している側としては焦ってしまいます。私の場合も離婚から3年経った頃、突然減額したいと言われました。

ある日突然届いた、養育費減額の通知

ある日突然届いた元旦那からの手紙。なんだか嫌な予感がしたけれど、恐る恐る封書を開けました。便箋に綴られた文面を読むと、「養育費を減額して欲しい」という文字が目に飛び込んできました。

減額の理由は、「仕事がうまくいかず、収入が減ったから」という内容が書かれています。自分勝手な人だから、離婚せざるを得なかったわけで、その申し出自体に対しては驚きませんでした。

でも、「減額の話し合いをしたいという」というわけでもなく、「今月から減額でお願いしたい」という一方的な通達です。元旦那の自分本位なやり方に改めて嫌気がさしました。

「来月から◯万円減額させていただきますので、よろしくお願いします。」

えっ?そんな一方的に?そんなことが許されるの?

ちなみに、私は協議離婚で離婚が成立し、公正証書が作成されています。月々の養育費の支払い金額や、いつまでという取り決めもされていて、支払いが2か月滞った場合、すぐに給料差し押さえの強制執行ができる状況にありました。

なので、私の選択肢は三つあります。

  1. そのまま減額を受け入れる
  2. 減額幅を縮小してもらう
  3. 強制執行をかける
果たして、どの方法が良いのか。私は離婚した時に依頼した弁護士に相談をすることにしました。

養育費、減額したくない!弁護士の見解は?

まずは自分で調べてみました。すると、一方的な養育費の減額は認められない。どうしても減額をして欲しい場合は、減額を請求する側が家庭裁判所に「養育費減額請求調停を申し立てる」という内容の記事をいくつか読みました。

ということは、相手に「減額して欲しければ調停を申し立ててね!」と、言って減額には応じない姿勢を見せたらいいのか?その旨を弁護士に相談をしましたが、答えは残念ながら「NO」でした。

仮に元旦那側の減収が証明されてしまうと、養育費の減額は認められてしまうリスクがあるというのです。弁護士は「収入などの事情が変更した場合、養育費の減額が認められる可能性があるという事実を相手側が知っていた場合、こちらから減額の調停を示唆することによって、元旦那側にとって有利な情報を提供してしまうことになる」という考えでした。

養育費減額幅の縮小へ作戦変更

次に考えたのが、養育費減額幅の縮小への交渉という選択肢です。「減額には応じるけれど、もう少しなんとかして欲しい」というお願いをすれば、できるだけ円満に終わらせたかったことと、本当に相手の生活が苦しい状況ならば仕方がないのかな?と考えたのが作戦変更の理由です。

相手との交渉事項は三つ

  1. 減額には応じるが、減額幅の縮小をしてほしい
  2. 減額期間が曖昧。いつまでなのかはっきりさせたい
  3. 減額した分は、経済状況が回復した時点で、上乗せして支払ってもらいたい
元旦那は、「会社の業績が回復するまで減額して欲しい」としていたのですが、こちらとしては確認のしようがないので、減額時期を明記したいと考えました。つまり、「一体いつまで減額するの?」ってことをはっきりさせて欲しいと思ったのです。

この三つの点についての交渉を、弁護士へ依頼をすることにしました。弁護士費用は12万円です。

養育費減額調停を起こされた場合のリスク

弁護士から私の要求をまとめてもらった文書を元旦那に郵送してもらうと、すぐに連絡がありました。すると元旦那も弁護士の無料相談を受け、「応じてもらえないのであれば養育費の減額調停を家庭裁判所に申立てざるを得ない」ということで、相手方は減額調停までアドバイスを受けていました。

仮に養育費減額調停を起こされた場合、減収の立証があった場合は、養育費減額事由に当たりうることから、減額調停を起こされた場合、かなりの確率で減額されてしまうリスクを伴います。

また、減額される期間をはっきりさせることについては、「業績回復の見通しはある程度経つのか?」「回復後に上乗せで滞納分を解消は同意されるか?」などの質問に対しても、「業績回復は見通しが立っていないので確約はできない」とあいまいな返答です。

この時点で、白黒をはっきりさせようとすると、元旦那側は減額調停を起こす構えを強調します。こちらにとっては調停に費用がかさむうえに、減額のリスクを負います。それに対し、旦那側は多少の費用を覚悟すれば、減額を認められる可能性が高いわけです。減額調停は、こちら側にはメリットがないように思いました。

結局、養育費減額は認めることになり、減額期間はいつまでにするのかという点についてもあいまいな回答をそのまま受け入れるしか選択肢はありませんでした。

約束を果たさないのは向こう側で、こちらに落ち度はありません。なんだか腑に落ちない気もしますが、調停を起こされるとさらに減額されてしまう可能性もあるうえに、もし、強制執行をしたとしても回収できないかもしれないなら、あきらめるより仕方がないですね。

ただし、離婚時に公正証書を作っていたおかげで、こちらに有利なことがあります。それは、公正証書に基づき、いつでも強制執行がかけられる状況にあることです。

養育費の減額をさかのぼって請求できるのは3年

減額調停を起こされなければ、滞納分が消滅するわけではないので、後から回収することは可能です。請求できるのは3年間なので、それは注意しておいたほうが良いと弁護士からのアドバイスをもらって終了しました。

弁護士としての活動はなくなったということで、 12万円の弁護士費用はなくなり、相談料として1万円を支払い終わりました。最初に意図していたものとは違う結果になりましたが、大きなリスクを避けて妥当な着地点で終わってよかったです。

まとめ

たとえ離婚をしたとしても、子供を育てるための費用を(養育費)を支払うのは、親権を持たない親にも義務があります。子供のためにきちんと支払うべきものではありますが、減額となるやむを得ない場合があることも事実です。

公正証書を作っているかいないか、双方の経済状況、子供の状況や年齢などによって対応は変わってきます。養育費の減額請求をされたら、やはり法律のプロに相談するのが正しい選択のような気がします。