家事分担・育児分担がうまくいかない!放っておくと大変

結婚する前は仲の良いカップルだったのに、結婚して、いざ生活を始めると、その良好な関係にヒビが入ることがあります。家庭生活を営むためには、家事をこなさなければならないし、子どもが生まれると、育児に追われます。

家事や育児の分担をどうするか、事前にしっかりと話し合っておかないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになってしまいます。

理想的な家事分担は?手本のない、手探りの世界

女性の社会進出が世界中で進み、日本にもその流れがやってきました。男女雇用機会均等法が1986年4月から施行され、職場では男女平等を求められることになりました。この法律は、女性が、家庭と仕事が両立できるよう作られた法律です。

しかし、長年、男女の役割について「夫は仕事、妻は家事」といった固定観念が強かった日本は、女性の社会進出で先進国の中で大きく後れを取っています。日本政府は、女性社会進出を後押しする政策を強化し、ようやく、女性の活躍の場が広がり始めています。

その一方で、家事や育児の役割分担をめぐり、家庭内では戸惑いが生じるケースが増えているようです。まだ、母親が家事や育児の大部分を担ってきた親世代の家庭運営は参考になりません。

もちろん、中にはしっかりと家事分担できていたり、父親が家事を担っていた家庭もあるでしょうが、まだ少数です。子どもは、親のすることを見て、いろんなことを学びます。

家事や育児をしっかりとやっている親の姿を刻み付け、自分が結婚した時、または、親になったときにそれを思い出しながら、家事や育児に向き合うのです。つまり、現代の夫婦は、どのように家事や育児を手分けするか、理想的なお手本がない中で、手探りで家庭を運営しなければならないのです。

大変ケース1 夫の考え方が古く、妻が多くを背負う

日本の家庭で、多くの夫婦が陥るのが、夫が仕事に追われて、妻が仕事と家事・育児など、多くを背負いすぎるケースです。

どうすればいいの?

こうしたことが起こりやすい原因として、夫の考え方が、男女平等の社会の実現という概念に適応できていないことがあります。こうならないためには、結婚する前に、夫の考え方をよく確認しておくことが大事です。

結婚前にはわからなかった場合も、子どもができる前に、家事分担のところで夫の考え方が分かるときがあります。そうした場合は、一度立ち止まって、このままでうまくやっていけるのかどうかを確認するといいでしょう。

子どもができてからだと、妻の負担がますます重くなってしまうからです。どうしても夫が理解しない場合は、離婚も含めて、自分の生き方を再検討するほうが良い場合もあります。

大変ケース2 夫の職場の考え方が古く、妻が多くを背負う

夫は家事や育児をしっかりやりたいのに、夫の職場がそれを許容しないケースもあります。その結果、妻が背負う負担が大きくなり、潰れてしまう恐れがあります。たまりかねて、夫に不満をぶつけることもあるでしょう。

逆に、夫が仕事と家事、育児の両方を頑張りすぎると、夫がつぶれてしまう恐れもあります。日本の職場環境としては、一部の先進的な考えを持った企業は別にして、まだ、女性が育児の主役であるという考え方が根強くあるのは事実です。

そうなると、妻は早く帰れるが、夫は早く帰れないというケースが多くなります。「妻は早く帰宅できるから、楽である」という考え方が短絡的で、その分、家事や育児を背負ったり、仕事を自宅に持ち帰ったりすることもあるからです。「職場で残業していたほうが、楽」ということもありうるのです。

どうすればいいの?

この場合、転職もふくめて、夫婦の働き方を見直す必要もあります。ただ、働き方改革に熱心で、従業員のモチベーションの高い企業は、業績も良く、入社するのが狭き門であるというケースがあります。

そう簡単にはいかないのも事実です。同じ会社の中で、配置転換を申し出るとか、さまざまな選択肢を考慮し、家族や自分にとって、ベターな選択肢を選ぶことを考えるべきでしょう。

大変ケース3 義両親にまかせっきりで潰れる

最近の共働きケース夫婦が、職場の不理解にもかかわらず、何とか乗り切っている背景には、妻や夫の親(主に母親)が家事や育児を手伝ってくれていることがあります。この「ばあば」の助けがなければ、女性の社会進出がもっと遅れていたと推測できます。

しかし、さすがの「ばあば」も、多くの負担を背負わされると、ストレスがたまったり、体調を崩したりという結果になりかねません。

義親が自分の子どもに不平を言うと、それがもとで夫婦喧嘩の火種になる可能性が高いので、義親はじっとこらえて我慢するケースもあります。しかし、誰かが、その不満を受け止めてあげる役割をしなければ、たまったものではありません。

どうすればいいの?

この場合は、義親がサポートしてくれている間に、義親に頼らなければならなくなっているさまざまな問題(職場の不理解など)を改善する方法を考えなければなりません。しっかりやってくれているからと言って、そのままにしておくと、いつか大きなトラブルとなる可能性があるからです。

大変ケース4 夫婦のどちらかが無責任

夫婦のどちらかが、家事や育児に関して無責任だった場合、相方にかかる負担が著しく増してしまいます。

もともとの性格が、ちゃらんぽらんな夫(妻)であった場合は、言うまでもありませんが、最初はうまく家事や育児を分担していても、どちらかかが、根気が続かなかったり、家庭や仕事に躓いて挫折してしまうケースもあります。

いまは、カレンダーアプリやSNSを使い、保育園の子どもの迎えや家事当番などのスケジュールを共有している夫婦が多いと言います。うまく回っているときは良いのですが、急に仕事のトラブルが起こったり、子どもが体調を崩したり、自分が体調を崩したりと、予期せぬ事態が起こると、たちまち計画が狂います。

どうすればいいの?

仕事のトラブルや子どもの病気、自分の病気などは、子育て中は、結構頻繁に起こりうるものです。そうなったときにどうするのかまで、あらかじめ決めておくと良いでしょう。こうした危機を共有し、カバーし合えるかで、夫婦の絆の強さが試されると言っていいでしょう。

大変ケース5 不透明な家計の分担

共働き夫婦が増え、女性の社会進出が進みだすと、妻のほうが重い社会的責任を背負い、報酬も高いといったケースが珍しくなくなります。家事育児の分担が平等になると、職場の価値観が「男は仕事」のままであった場合、夫のほうが職場の評価が低くなりやすくなる可能性もあります。

そうなると、夫は家計に責任を持つ割合が多くなってしまいます。負担が多い程度ならまだしも、夫が失業したりすると、妻が家計をみる覚悟がなければ、家庭の運営はたちまち行き詰まってしまいます。

どうすればいいの?

家計の負担をどうするかは、事前に話し合っておく必要があります。ひと昔前は、会社に入ると、終身雇用が保証されていましたが、いまは違います。リストラや転職、独立、起業などさまざまな働き方を迫られる複雑な世の中です。報酬が変わるたびに、夫婦で話し合い、家計でも苦労をシェアできるのが理想です。

まとめ

夫婦の家事、育児、家計の分担は、これからますます重要になってきます。どのような働き方を選ぶのか、育児や家事のスタイルなど、夫婦でしっかり考え方や価値観について話し合っておくことが大事です。

家事分担表を作ったり、アプリで家事分担の管理をしたりするのは良いのですが、そもそも、どちらかが一方的に、自分の都合の良いように作った分担表であったら意味がありません。

人間は楽しいことを共有するのは簡単です。そうした時は、人のいいところばかりが際立ちます。しかし、人間の本当の姿が垣間見えるのは、苦境に陥ったときです。辛いことにどう向き合うのか、トラブルをどう解決するのか、そこで夫婦の価値も決まってくるでしょう。